JAMMA/JVS対応コントロールボックスの製作
前に液晶モニター用ゲームラックを作りましたが、コントローラーは台の部分に置くだけで
固定ができないため、プレイに熱が入るとすぐにコントローラーごと動いてしまいました。
そこでコントローラーを固定しなければと考えていたのですが、今回たまたま入手した鉄板
(曲げ加工済み)がラックの台にピッタリのサイズでした。これでコントローラーを作れば台に
はめ込むだけで固定できそうです。そこでこの鉄板で新たにコントローラーを作ります。
単にコントローラーを作るだけならこの中にレバー、ボタンを組み込めばいいだけですが、
鉄板内部は結構なスペースがあります。電源とI/Oボードも組み込めそうな感じ。もし組み
込んだとすると、単体でコントロールボックスにもなって便利では?と思い立ちました。使用
する電源等の内部配線は”JVS規格のつなぎ方”のコーナーで作ったシステムが使えます。
ただ、その場合はJVS専用になってしまいます。どうせ作るならJAMMA規格の基板にも
対応したいところ。そこでJAMMA用に-5Vの電源を追加して、更にJAMMAの時はI/Oボー
ドを切り離せる様にします。後はスピーカーをモノラルですが内蔵して、JAMMAの時は
音声アンプをスルーに出来る様にスイッチを取り付けたらOKかな。
ボタンを光らせる
大体の構成が決まったところで、次は使用するレバーとボタン。ボタンは近頃セイミツ工業
から発売になった、照光式押しボタンスイッチPSL-30Nをチョイス。主催者は以前から一般
的なパネルに付く30φのボタンスイッチを光らせてみたいのぅ、と思っていたのでこの機会
にやって見る事にしました。下の写真が今回購入した照光式ボタン。色はパープルを選択。
しかしこのボタン、購入して分かったのですがボタンの頭(押す部分)は光らないのでした。
写真にある通り、スイッチ本体に繋がるキャップは完全に不透明な樹脂で出来ており、全く
透過性はありません。パネルに取り付けたら、もっと印象は良くなるのかも知れませんが。
そこで主催者はボタンの頭も光らすぞ!と決意。スイッチ内部には高輝度の白色LEDが
入っており、不透明のキャップを透過性のある物に変えるだけで十分光るはずです。
そこで作って見たのが下の写真。キャップを透明のアクリルで作り、表面には乳白色の
樹脂を取り付けました。結果は・・・。まあ光る事は光ったが、アクリルで作ったキャップ
に繋がるスイッチ本体の先端部分が影になってあまりキレイではありません。しかもアク
リルに付いた僅かなスレが乳白の樹脂に投影されて傷となって浮かび上がります。
う~むコレはいかん!と言う訳で急遽もう一丁乳白の樹脂を切り出し、アクリルキャップ
の下にも装着して、サンドイッチ状態にして見た。もう一枚追加する事によって厚みが
増しますが、こちらが本来の高さなので、安定度が増して逆に都合が良くなるはず。
追加した結果、影は薄くなりキズも投影されなくなって、まずまずの光り具合に。下の
写真左が光っていない時の状態で、中が発光時。右が今回製作した透過パーツです。
レバーを光らせる
さて、次はレバーですが、ボタンが光ったのでレバーも光らせたいと思うのが人情。
レバーはボタンと同じくセイミツ工業のLS-32-01が手持ちであったのでこれを使用し
ます。レバーを光らせるとなると、やはりレバーボールの部分でしょう。レバーボール
はクリアタイプが出ていますから、これの中にLEDを組み込めば発光させる事が出来
るはず。しかもクリアタイプのレバーボールは泡入りなので、光源がじかに見えず好
都合。色はボタンと同じくパープルをチョイス。実際どの様に見えるかは光らせるまで
分からないのですが。
加工はまずレバーのシャフトに貫通穴を開けます。次にレバーボールの取り付けネジ
の金属部分を貫通させて、LEDがボールの中心に来る様にします。
LEDはボタンと同じく白色を使います。細い線でシャフト末尾から引き出します。
こちらは一発で決まりました。ほぼ想像通りでいい感じ。
ケースの加工
主なパーツがほぼ揃いましたので、ケースの加工に入ります。今あるのは上面パネル
の部分だけなので底と側面の部分を作らなくてはなりません。まずは底板から開始。
底はラックの部分にはめ込むので、具合を確かめながら進めます。
次は側面パーツ。鉄板を折り曲げて製作、ネジ止めにて取り付け。底板は丁板を使い
開閉が出来る様にします。丁板は取り付けた時にちょうつがいの部分のみが外部から
見える様にするため、市販の物を一度分解して片方を90度曲げて組み付けています。
次はいよいよ穴あけ。パーツを並べて配置を決定した後、ガリガリ開けます。材質が
1.6mm厚の鉄板なので加工がしんどい(特に角穴)。これだけで6時間ぐらい掛かった。
穴あけが出来たら、パネル表面に貼る化粧パネルを作ります。化粧パネルの製作は
かなり面倒なのですが製作物の品位が上がりますし、冬場等、パネルがやたら冷た
いと言う事も無くなって感触も良くなります。化粧パネルは厚さ1mmの透明プラ板を
使用。穴開け後に裏面全体にマスキングテープを貼り、模様を書いた後、カッターで
切り取ります。
マスキングが出来ましたら黒スプレーを吹き付け、マスキングを剥がします。塗料が
まだ半乾きの状態でマスキングを剥がすのがポイント。使用したプラ版は塩ビなので
食いつきの悪い塗料を使用すると、マスキングを剥がす時に塗料まで剥げてくるので
注意が必要。このあたりはラジコンカーのボディ塗装と同じかな?
後はアクセントカラーを入れて、余白全体を白スプレーで塗装して化粧パネルは完成。
透明プラ板の裏側から塗装しているので、模様が擦れて消えると言う事がありません。
ケースの鉄板の方は全体にカッティングシートを貼り付けて仕上げます。やっとこれで
ケースが出来た~。部品の取り付け&配線に入れます。
JAMMA/JVS両対応コントロールボックスの配線
配線はまずJVS用電源に-5Vの電源を追加する所から入ります。同一回路内で電源
の追加をする場合、共通端子であるGNDの電位は揃っている必要があるのですが、
スイッチング電源の場合はGNDが内部のトランス巻線の部分で分断されているので、
特に電位を気にしなくても追加できる場合が多いらしい。その様なわけで今回はその
まま追加して様子を見る事にします。また、電源スイッチはAC100Vを直にON/OFF
せずにスイッチング電源から出ているON/OFF端子を使用します。その様にした理由
ですが、スイッチング電源に付いているACインレットをそのまま使用して電源ケーブル
の脱着を行いたかったのと、電源基板のパターンカットをしたくなかった為です。しかし
そうなると追加した-5Vは別個で100Vに繋がっていますから、こちらはOFFに出来なく
なってしまいます。そこで電源内部に小型のリレーを付けて-5V用100VのON/OFFを
連動で行う様にしました。下の写真でスピーカーの横にある黒い小さい物が-5V用の
電源。普通の+5Vの電源の+側をGNDに接続して-5Vとして使用しています。電位を気
にしなくていいので、逆接続でも問題ないはず。
JAMMA/JVS切り替え
次はJAMMA/JVS切り替えの部分に入ります。JAMMA/JVS切り替え自体はI/Oボード
を使うか使わないかだけなのですが、本機の場合は単にレバー、ボタンのみを使用する
場合もあります(むしろそちらがメインかも)。そこで操作系の入力をまとめて切り替えが
出来る様にします。そうなると端子の数も多いですし、そうそう切り替える訳でも無いので
コネクタの差し替え式で対応します。コネクタ差し替えは差し替え専用基板を作りますが、
どうせ基板を作るのなら、そこに音声アンプと連射回路も載せます。ついでにレバーとボ
タンの発光は入力が無い時には光り、入力されたときは消える様な回路を付けます。
ボタン切り替え
SNK アテナとか、テクモ ジェミニウイングはA、Bボタンの配置が逆です。今までは
ボタン裏のファストン端子の差し替えて変更していましたが、面倒なのでスイッチ切り
替えにします。今までボタンの端子をよく折りましたし、今回採用したスイッチの接続
は専用コネクタで値段も高いですからね。パネルには6ボタンが付いていますが、実
は主催者、格闘物は殆どしない。その為ボタン切り替えは3ボタンの部分のみです。
音声出力切り替え
お次は音声アンプですが、音声出力には3つのパターンを考えました。
パターン1 JAMMAの場合 | 内蔵アンプを使用せずに内蔵スピーカーを鳴らす。(モノラル) |
パターン2 JVSの場合:1 | 内蔵アンプを使用して内蔵スピーカーを鳴らす。(モノラル) |
パターン3 JVSの場合:2 | 内蔵アンプを使用して外部スピーカーを鳴らす。(ステレオ) |
ちなみに内蔵アンプを使用せずに外部スピーカーを鳴らす場合(JAMMAのステレオ
出力含む)は、装置を経由せず基板からジカに外部スピーカーに接続します。
上のパターン1~3をスイッチ切り替えで考えたら、微妙にややこしくなってしまった。
早速配線に入ります。線の数が多いから何とかスッキリさせなくては・・・。
動作テストと対策
配線が完了した部分から順次動作テストを行っていきます。
まずは電源の-5Vリレーの動作。これはJVS電源の+5Vでリレーを動かしているだけ
なのですんなりOK。まあ、後は実際に基板を動かしてヘンに熱を持ったりしない事を
確認する事だけど、こちらもアッサリOK。スイッチング電源の追加は問題無い様だ。
次はボタンとレバーの発光/消灯確認。これも一発でOK。ただ、ボタンに比べると
レバーは暗め。LEDに流す電流を増やせばある程度明るくなるが、ボタンは2灯に
対し、レバーは1灯だから仕方ない部分ではあります。ちなみにレバーを動かして
みると、レバーはプレイ中は殆ど光らない事を発見。ニュートラルの時しか光らない
様にしたのですが、プレイ中にニュートラルなど良く考えたら殆ど無いのであった。
なお、レバーとボタンの発光はゲーム基板のプルアップを検知して発光しています。
パネルには6ボタンが付いていますが、ゲーム基板に接続していない部分は光らな
いのです。更にボタン切り替えスイッチとボタンの発光は連動させていないので、切
り替えを行うと隣のボタンが点滅すると言う有り様です。しかしこれはこれで現状を
確認出来る事に違いは無いので、あえてそのままにしてあります。
お次は音声アンプ。音声アンプの配線は切り替えスイッチの部分が複雑でいかにも
間違えそう。この部分は念入りにチェックしたので間違いは無かった。しかし実際に
音を出すと、JAMMAの時はいいがJVSで音声アンプを使うと何かヘン。音も鳴って
いる様な鳴っていない様な、よく分からん。それよりブザーの様なハム音がひどい。
音声アンプを切り替えコネクタの部分に乗せたので、音量ボリュームがやや離れた
位置に付いています。もしかしたらこれか?と言うワケでボリュームと音声アンプの
配線をシールド線にしたら完璧とはいえないが劇的に解決。シールド線でここまで
ガラッと変わったのは初めてだ。
次は連射回路。これは全く動かず困った。よく見たら配線を一部間違えていた。
「な~んや。間違えとるやん」と思い修正したが、まだ動かない、と言うより何か
の弾みで一瞬動く?色々調べたが結論を言うと電源電圧を間違えていた。大元
のシステムは一番最初の自作筐体の時に作ってから基本はずっと一緒。それで
電圧のピン配列をすっかり勘違いしていたと言うオチ。
ワシとした事がいやはや。
ただ、動く様になるにはなったが基板によって動作が悪い物がある。連射回路は
4017を使った8速シンクロ連射なのだが、4017をシンクロ連射に使うと同じ4017
でもICのメーカーによってかなり差が出る。ロジックICの場合型番が同じでも内部
の回路は製造メーカーによってかなり異なるためで、より使えるのを選別するか、
入出力部を工夫して使うしかない。今回は面倒なので一番良いのを使う事にした。
相性の良い4017を使うと、くにおくんやらサイコソルジャーやら沙羅曼陀やら色々
有効になって笑えます。有効と言いましても、基板が受け付けていると言うだけで
ゲームのプレイ上は全く役に立っていません。要はいらん!と言う事です。(笑
なお、連射させるとボタンが点滅して連射速度を知る事が出来てこれは便利だ。
下の写真は配線がほぼ完了してJVSの動作確認中のところ。JVSはI/Oボードの
プルアップを検知しているので全てのボタンが光っています。ただしレバーは光ら
ずまた調べなおすハメに。原因は上の連射と同じく電圧のピン配列をこちらも同じ
様に間違えていて、5Vの所に12Vが掛かっていた。おかげでC-MOSが一個お陀
仏に。電圧のコネクタピンを差し替えてICも交換してついに全ての動作が完了。
下の写真左は本機の後ろ側。後ろからはJAMMAとJVSの接続部が出ています。
側面は電源ケーブルとか各種切り替えスイッチが出ています。写真中はJAMMAの
接続を行ったところ。写真右はJVSの接続。JVSはこうして見るとシンプルです。
完成したので早速ゲームラックに乗せて見ました。こうして見ると、ややごっつい
感じ。しかしゲームはプレイしやすいです。モニターにはNAOMIのゲーム(ダイナ
マイト刑事EX)が映っていますが、これは本機のシステムで動いています。
ちなみに本機の製作に掛かった日数は一ヵ月半でした。
JAMMA/JVS対応コントロールボックスの製作 トップ